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PATON  GIRL!

PATON GIRL!

ダムにやっと会えた

翌日、ビーチに出かけた。ホテルでバスタオルを借りて、バングラ前のビーチでイスに座った。

座ったとたんビールを飲んだ。昼まっから飲む酒、うまい!

と、波打ち際にジャックの姿が見えた。あたしはジャックに近づいた。

「ジャック、おはよ。昨日、ゴメンね?怒ってる?」

ジャックはあたしを見て笑いながら言った。

「大丈夫、怒ってないよ。気にしないでいいよ」

ほっとした。でも、、、なんとなく違う、、、今、ジャックは一応仕事中だから、そっけないのかな?


しばらくはおねえちゃんと話したり、海にはいって遊んだ。お姉ちゃんはボーイズに誘われるままにビーチでマリファナを吸ってた。あたしは一緒になって吸ったりはしないでおねえちゃんのそんな姿をばっちりビデオに納めてやった。

ファインダー越しにジャックが映った。お姉ちゃんが吸ったその瞬間、ジャックが何か叫んだ。その姿もビデオには入ってる。

その時、あたしの隣にはレゲエ頭のボーイズが座ってた。その場所には二人レゲエがいたから、大レゲエ、子レゲエと、呼び分けた。

その時子レゲエはお姉ちゃんたちと一緒にマリファナを吸ってた。あたしの隣にいたのは大レゲエ。彼はダムのルームメイトだ。

「あなた、ダムの彼女でしょう?ダムに会ったの?」そう聞かれた。

ダムの彼女、、、そうなのかな?未だに会えてないのに?ジャックっていう彼氏がいるのに?

「ダムと、、、もうだめかもしれないよ。君、ダムと一緒に住んでいるんだよね?」
「今は違う。前、一緒だったけど。大丈夫。」

大丈夫?何が?もしかしてダム君とのなか、何とかしてくれようとしてるの?

「もし、ダムがあなたをケアしなくても、私がする。アイライクユー。」

なあんだ。ただのナンパか。でも、悪い気はしなかった。大レゲエのこと、嫌いじゃないし、前回あたしがダムの家に遊びに行ったこと憶えててくれただけでなんだか嬉しかった。

しばらくして、おーちゃんがやって来た。あたしはおーちゃんに近くに座り、話し始めた。

「何で昨日電話しなかったのよー。お姉ちゃん怒ってるよ~」

「電話かけ方わからなかった~。」

、、、まじかよ。でも、うちらのケータイはドコモのケータイ。かけるには日本経由でかけなきゃだから、もしかして国際電話のかけ方がわからないのかもしれない、、、仕方ない。納得するしかない。

「今日、ダム、遊べるって。俺と。、、、一緒に来る?」

思いがけない言葉。でも、その期待を今まで何度も裏切られてきた。過度な期待は禁物だ。

「うーん、行きたい。もしダムがいいって言ってくれるなら、、、」

その時お姉ちゃんが近づいてきた。かなり恐い顔!!おーちゃんにいやみを言い始めた。

恐い恐い。あたしはそっとその場を離れて自分のチェアに戻った。


しばらくするとジャックがチェアに来た。

「タバコちょうだい」

なんだか、やっぱり怒ってる?タバコを渡した。

「ちー、ウソツキ。おととい、これから毎日会えるでしょ?って言ったのに、ウソツキだ」

あらら、、、やっぱり怒ってた。それから、しばらくジャックはその場で文句を言い続けた。

「おとといまで、私、ちーのこと、100%信じてた。でも、今は信じられない。朝、私に怒ってるって聞いたでしょ?怒ってるよ」

ジャックは前からそう。すぐに怒るし、その怒り方も子供がすねているように怒る。

不意に聞かれた。

「WHO ARE YOU?」

は!!??あんた誰って!?どういうこと?

あたしが困った顔をするとジャックが続けた。

「ちーは、私のガールフレンドじゃないの?そうでしょ?どうして会えないの?」

、、、ジャック。すねてる。とり合えず機嫌をとらないと。

「わかってる。私、悪いよね?」そうジャックが言った。日本語で。

あたしは逆に悪いと思ってしまった。今日こそ、ダムと会えるかもしれない。でも、この年下の彼氏を悲しませてはいけない、、、

「ちーが、お姉さんと一緒にいなければお姉さん一人になってしまうのはよくわかる。でも、ちーは何をしにここにきたの?」

「ジャック!決まってるでしょ?ジャックに会いに来たんだよ。ジャック、今日、会えるよね?電話するよね?」

「どれくらい一緒にいられるの?」

「泊まれないってわかってるよね?でも、、、5時間か、6時間くらい?」

ジャックはそれに何も反応しなかった。あたしは続けた。

「もし、今日ジャックが電話してこなかったら、あたし、ジャックのことはもう諦める。あなた次第よ」

「、、、ユーライクミー?」ジャックはそう答えた。すごく不安そうに。
チワワみたいにうるうるの目であたしを見る。

「ジャック、、、オフコース。コールミー。」

ジャックは何も答えないで「もう行かないと。あとで」とだけ言って仕事に戻ってしまった。

ジャックはとても不安なんだ。久々に会えた日本人の彼女。なのに、その彼女はふらふら違うボーイズと楽しそうに話したり、会えるって言ったのに突然会えないって言ったり。

ジャックがあたしを嫌いになって文句を言ったのではないと、痛いほどわかった。自分を好きなのか、そうじゃないのか自信がない、それが良く伝わった。

あたしは、今夜はジャックと会おう。それでもしもダムと会えなくなっても仕方ないって思った。


夕方、ホテルに戻り、お姉ちゃんに、今日、ジャックと出かけると伝えた。

「おーちゃんとは何時に会うの?」そう聞いたら、

「まだ時間も場所も決まってないから10時に電話するって言った。」


10時?間に合うかもしれない!

「あたし、ジャックと会っても遅くても11時には戻るから!だから、今日、会えるなら、絶対あたしも行くから、おーちゃんから連絡が会ったら電話して!そしたら帰ってくるからね」


そういってあたしは出かける用意を始めた。お姉ちゃんは一眠りするといって眠り始めた。

でも、午後7時過ぎ。ジャックからはまだ電話がない。あたしは暇を持て余して、ホテル近くのインターネットカフェでブログを更新しようと外にでた。

カフェにはいる前に考えた。もしかして、ジャック、もう終わりにするつもりで電話してこないのかなあ、、、

よくわからなかったので、自分からかける事にした。


コールが鳴り、ジャックが出た。いつもなら、あたしからの電話ってわかっててもハロ?って言うのに、

「はいはーい」日本語ででた。

「ジャック?今日、、、来るの?」ちょっと不安になりながら聞いてみた。

「ごめんね!今から出るから。もう少し待ってて。ついたら電話するからね」

そういって切れた。大丈夫かな?ちゃんとくるかな?不安に思いながらもカフェに行って日記を書いた。その内容は、ダムに会えない、、、ジャックとけんかになった、、、今日、ダムと会えるかもしれないのにジャックがなかなか来ない!早くあって早くバイバイしたいのに!そんなネガティブなもの。でも、全部、書き終わらないうちにジャックから電話が来た。かなり中途半端な状態で日記は締めくくられて、あたしは外に出た。


ジャックが、待ってた。あたしは昼間ジャックに怒られて、疑われて、結構、やばい状態なのに、

「おそーい!!」と、逆切れした。


「ごめんね、バイクのタイヤが壊れちゃって直してたから遅くなっちゃった、ごめんね?」

ジャックは素直に謝った。すかさず聞いた。

「フーアーユー?」昼間された質問をジャックにした。


「ちーのボーイフレンドだよ!!あなたが好きです。本当だよ?ダーリン?」

そう返ってきた。あたしはにっこり笑って

「ダーリン」そう返した。昼間にあんなに怒られて攻められたことなんてなかった見たいにうちらは仲良く歩き出した。

「ご飯食べた?」ジャックが聞いて、

「まだ!!おなかすいた!」あたしがそう返して、二人、バイクに乗って仲良くご飯を食べに出かけた。

行った先はパトンショッピングセンター(?だったと思う)のわきにあるレストラン。観光客が行くようなレストランではない。でも、今までよく行った様な店先にバットに入った料理が並ぶ食堂ではなく、一応、ちゃんとメニューがあった。

いつものことだけど、ジャックはあたしの分も決めて頼む。そして、ビールではなくタイティーを飲んだ。すごく甘くて最後にちょっと渋い。甘いお茶は飲まないあたしだけど、それは嫌いな味ではなかった。

ジャックは頼んだ卵焼きをたくさんあたしのお皿に入れてくれた。
「たくさん食べて!!」

その時金髪の小さな子供がうちらのテーブルに近づいた。あたしに手を差し伸べた。でも、あたしは何かお金を上げなくちゃいけないのかな?って思ってその手を握ってあげられなかった。
もう一人、ジャックに近づいた。ジャックはそっとその手を握り返して、
にっこり笑った。そう、ただの人なつこい小さな子供。

「かわいい!!私、子供大好き!」ジャックは嬉しそうに言った。
それをみて、あたしはまたジャックを愛しく思った。一瞬二人の未来が頭をよぎった。

食事が終わり、ジャックとあたしはバイクに乗って走り始めた。ロイパラのほうへ向かって。ロイパラを通り過ぎて。

「あれ?ジャックどこへ行くの?」

「今日、帰るの11時でしょう?家に行こう。私の家」

しまった、、、ジャックの家なんて行ったら帰れるかどうかわからない。でも、信じた。文句は言わずに一緒にジャックの家へ。

懐かしい道。前回ジャックの家へ何度も行った。パトンの山を越えて空港へ向かう道。

ジャックがものすごいスピードを出す。普段、バイク二人乗りなんて一切しないからかなり恐い。

「恐くないよ~大丈夫。もっと掴まって♪」
ジャックが面白がってあたしの手を握る。あたしも恐い恐いと言いながらニコニコジャックの手を握り返した。

家に着くと誰もいなかった。入ってすぐが友達のベット、ジャックの部屋は奥。しばらく友達のベットに座ってタイのアーティストのROSSO?のDVDをみたけど、ジャックがあたしの手を引いて、うちらはジャックの部屋に行った。相変わらずベットと洋服しかない部屋。壁にはたくさんサッカーの切抜きが張ってあった。

うちらはベットに倒れこんで、2ヶ月ぶりに、キスをした。
ジャックはあたしをいつも、ダーリン、と呼んで、ワンキス!と言ってほっぺにちゅうをしてもらいたがる。

なにもかも、2ヶ月前と変わらない。ジャックといるとドキドキしない。でも、ほっと落ち着いて、笑顔がこぼれる。

ジャックが突然言い出した。

「結婚する!!ね?」

は?結婚?あたしと?本気?

「ジャック?あたし、ハジャイには行きたくないよ。プーケットにしか住みたくないけど?」

「ちーがそうしたいならそうしようよ」

「じゃあ、、、ジャック?あたしのためにお金を稼げる?あたしは、働けないんだけど」

「イエス!」

うちらはままごとみたいに結婚の約束をした。叶うことはないだろう、約束。ジャックはもうアイライクユー、とは言わない。アイラブユーと言ってくれる。

でも、あたしは時間が気になった。今、10時半。そろそろ帰りたい。こんなに優しい恋人がいるのに、まだダムのことを気にかけていた。

何回目かに「そろそろ帰ろうよ、、、」そういったときにジャックは突然あたしを突き飛ばした。

「ちーは、時間のことばかり気にする!!そんなに帰りたいの?一緒にいたくないの?」

びっくりした。だってその直前までぴったりくっついていたのに。

さすが、、、そう、ジャックはB型。ご飯食べてるときに確認した。
タイ人で、B型で、こりゃ、手がつけられない。典型的なB、思ったことを何も考えずに口にする。

「ちがうよ!でも、お姉ちゃんのことが心配で、、、」

そう言い訳したときにあたしのケータイがなった。お姉ちゃんからだ。

「もしもし?ちょっと!!おーちゃんが電話に出ないんだけど。一応ダムにもかけたけど、ならない。まさかまたバックれ?」

そんなネガティブな電話。でも、あたしはその電話に
「わかった。とり合えず今から帰るから」

そういった。ジャックは怒らなかった。ちゃんと、ホテルまで送ってくれた。

「明日はビーチに来る?」そう聞かれて、

「うーん、わからない。行くかも知れないし、行かないかも、、、」

そういったけど、

「どっちでもいいよ。来なくても怒らないよ。やりたいと思ったことしていいよ。仕事が終わったら電話するからね」

と、なんとも寛大なお言葉。

ジャックとはそれでバイバイした。ホテルの中に入ったあたしはもうジャックのことを考えてはいなかった。これから、やっぱりダムには会えないの?
とにかく一刻も早く部屋に戻った。

部屋にはかなり不機嫌なおねえちゃん。

「もしかして、着拒かよ?」そういうお姉ちゃんをなだめ、

「もう一度電話してみなよ」そう促した。

でも、もうほとんど諦めていた。ダムにはたぶん会えない。

電話がつながったみたいだった。話し終えたお姉ちゃんが言った。

「でた☆これから来るってさ」

えー?マジ?

「、、、ダムも?」

「そうじゃん?これないって言ってなかったもん」

慌てた!!急いで、お風呂、入らなくちゃ!!

超特急で、でも、念入りにお化粧した。日本でマサ先輩が選んでくれたとっときの真っ白いワンピースを着た。

本当に?あたし、これからダムに会えるの?支度をしながらも信じられなかった。

お姉ちゃんのケータイが鳴り、うちらはホテルの前に出た。おーちゃんが歩いてきた。一人だった。

やっぱり、、、ダムがいない。

おーちゃんはなぜか車の方に歩いた。
「これ友達の。後ろ乗って」

大きなトヨタのバン。助手席が開いた。お姉ちゃんが何かを話した。
あたしは恐る恐る助手席を覗き込んだ。

誰かがいる。黒くてよく見えない。でも、、、ダムの声がする。
身を乗り出してよくみた。

ダムが、座ってた。あたしは何も言うことができずに黙って後ろに乗った。
ダムの真後ろ。お姉ちゃんがダムと話した。ダムの声。話し方。

不意にダムが後ろを向いて手を伸ばした。

「久しぶり。ちゃんと憶えてる?」

ダムがそういうのをあたしは黙ってうなずいた。ダムと手が触れた。

会いたくて会いたくてずっと会えなかったダム。手を握ってくれてるダム。

あたしは、自分の気持ちにはっきりと気がついた。

ダムの事が大好き。

ジャックじゃない。マサ先輩じゃない。

あたしはダムの事が本当に好き。こんなにはっきりと自分の気持ちを知ったことなんて、今までの人生でなかった。

もう、自分の気持ちがわからなくて迷うことはない。

ダム、大好き。


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